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House A
古い木造住宅が密集する住宅地に建つ専用住宅である。住まい手からの要望は、パーティが開けるような大きな部屋をどこかに設けたいということと、ゲストが泊まれる部屋、寝室、ダイニングキッチン、浴室、庭などであった。敷地は南北方向に長い長方形の形状で、東西の隣地側は木造家屋が迫って建つような、たて込んだ場所である。空間構成としては、ゲストルーム、リビングルーム、ダイニングキッチン、浴室を北から南に向かって並べてゆく、というものだ。各々の大きさが異なるために、各室をずらしてつなげることで隙間があちこちに生まれ、さまざまなところから風や光が入ってくる。
   五つの部屋がつながり、連続する。5つの部屋はカーテンや透明なパーティションで仕切られており、5つの部屋といいつつワンルームに近い状態でもある。
   部屋の大きさが異なり外壁が出たりへっこんだりすることで、建物の周りに小さな庭が生まれる。ここには大きな木を植えた。木陰の下で食事をしたり、または洗濯をしたり、庭木に水をやったりすることができる。
   建物は一部を除き平屋であり、二階建てが主である木造住宅地の低さとの調和を考慮した。
   構造は、鉄骨の柱梁からなるフレーム構造である。100mm ×100mm のH 型鋼材で全体を構成し、適宜ブレースまたは鉄板を入れて耐震性能を確保している。各ボリュームがつながる部分は、軸組二列が隣接して並ぶこととなり、それらを鉄板で一体化することで、各棟が一体化されている。
   各空間は、ダイニングや浴室といった具体的機能を持ちつつも、どの部屋も人が長時間滞在するという意味ではリビングルームと考えて、五つの異なる居間空間が並ぶ、とイメージした。どの部屋も光と風が十分に入り、くつろげる場所がある。浴室も、お風呂を入るためだけの機能空間というよりは、それ以外の時間も居てもよいと思えるような快適な場所を目指した。
   室内外に緑を配して、緑溢れる住居空間を目指した。リビングルームは、大きな可動天窓を設けて、開け放つと部屋全体が中庭のようになる。リビングルームでありながら、植物園のような緑豊かで開放的な空間である。庭には、十月桜、百日紅、シマトネリコなど、大きな木を何本も植えた。どれも花をつける木々であり、季節の変化を楽しむことができる。また、建物を日射から守るという意味で、木々は建築的な装置としても重要な役割を持つ。(西沢立衛)